医学部COACHING数学④:医学部受験で必要な「思考力」とは?

前回は、医学部受験を突破する上で、「暗記」の話をしました。しかし、誤解してほしくないのですが、数学の場合は、完全な丸暗記だけではダメです。

入試問題は、全く同じ問題はほとんど出題されませんので、丸暗記だと歯が立ちません。どうしても、医学部数学の場合は、最低限は「考える」力が必要です。


数学は丸暗記ではダメ。必要最低限の「思考力」は必要だ。


今回は、私立医学部で最低限必要な「思考力」について話したいと思います。

受験生
先生、「思考力」って何ですか?美味しいですか?
新国先生
いや、美味しくはないかな。冷たいものかもね。受験でも必要だね。

受験生
あれ、数学って暗記すればいいんじゃないんですか?

新国先生
まあ、結構暗記が重要だけどね、でも、丸暗記だと解けないよ。要は、「暗記」と「思考」のどっちも大事で、そのバランス配分が「効率化」の上で大事なんだ。この「思考力」っていうのも、クセモノだから、話しておこう。


受験数学に「発想」はいらない。


「考える」とか「思考力」という時に、それは一体何を指しているのかがよくわかりません。時々、数学力は「発想」だと言う人がいますが、まずはじめにですが、受験数学に発想というものは、ほとんど必要はないと思います。

なぜかと言うと、入試というものは、決まった勉強をしっかりやってきたかを試すのが基本だからです。高校で教わった内容を越えることはほとんどありません。発想=ゼロから解法を生み出すようなことは必要がありません。

だからまず、肝に銘じて欲しいのは、数学で解けない、という場合は、その解き方のパターンをまだ知らないか、気づかないか、忘れているか、というシンプルな話だ、ということを理解しましょう。

時々(昔の私とか)いるのですが、数学は頭がよくないと出来ない、と思っている人がいますが、それは大間違いだ、ということを伝えたいです。特に私立医学部(下位)の場合は、思考力がどうこうの話ではないです。それよりも、ちゃんとやることをやってきたのか、で決まってきます。後は、そのレベルの差です。

だから、その上で「思考力」というものは、一部必要な部分があるので、そこだけ鍛えることが必要だ、ということを理解しましょう。


「考える」けど、「考え過ぎ」は害である。


「最低限必要」とは何をあえて意図して言っているのかというと、丸暗記はダメだけど、実は、考え過ぎも良くないんです。その意味合いを込めています。

「考え過ぎ」にピンと来ない人が多いと思います。その人は、逆にチャンスだと思います。今回の話を上手く活用してみてもらいたいと思います。

昔私が高校生の時の例を挙げますが、当時、学校の先生とかに、「数学を得意になるためには思考力を鍛える必要がある」とか言われました。

当時の私はそれを真に受けたのか、誤って捉えてしまったのか、わからない問題をずっと悩み、考え続ける、という動きを続けていました。

まあ、聞ける人もいませんでしたし、当時そうした動きを肯定されていたので、ある意味どうしようもなかった。

しかし、いまだに昔の自分にように、延々と考える人に出会うこともありますが、これは、本当に受験を効果的に乗り越えようとする観点から見れば、非効率の極みだと思います。

例えれば税金の無駄遣い、みたいなイメージに近いですけど、生産性がかなり低いのです。

私は、そもそも受験数学に延々と考える価値はあるのか、と考えました。今のところ、あまりないです。むしろ害です。

昔の自分みたいに、それが大事だと信じ込んでいる人がいるので、傷をつけないために否定をしにくいのですが、この話を聞いている賢いあなたであれば、是非とも自分で気付き、何倍も効率よい勉強に切り替えてもらいたいと思います。

個人的な話で言えば、私の場合、高校生の時に、非効率の極みのような勉強をしていたので、今現在に比べると、学習能力は20分の1くらいでした。かなり効率の悪いことをやっていました。

一応それでもなんとか努力で受験は突破出来たのですが、私の場合は受験に時間と労力をかけ過ぎた、と思っています。

受験を終えて、逆を言えば、受験なんて、非効率な部分を発見して止めていくだけで、相当早く終了させられるものです。


「適切な」思考=「スマート思考」を目指せ。


その「非効率」の1つが、「考える」なのです。ココを適切なものにしてあげることで、結構変わりますので、ちょっとわかって欲しいな。

みんな考えろ、とか言うけど、「じゃあ考えるって何?」と聞かれたら、本気で考えている人がどのくらいいるのか。哲学的な話になってしまうので、深くは入りませんけど、この「考える」という曖昧な茫漠とした人間のプロセスを分析して精査すると、結構ムダを省けます。

これからの話は、わかる人もそれなりにいると思います。例を挙げると、わからない問題に出会った時の話です。

わからない問題に出会うと、そこで考え始めますよね。しかし、考えても考えてもわからない場合、その時にどうなるのか。

時計を見ると、気づいたら30分や1時間、と時間が経ってしまっています。

これはよく言われる人もいるかもしれませんが、1時間あれば、英単語を一体何個憶えられたか?例えば50個とか?

この話は一概には言えません。延々粘って考えて、意味がある場合ももちろんあります。考えて、それによって解決の糸口がつかめた、とか。

しかし、数学でわからない問題に出会う時に、それが「解決不能」な問題であることが少なくありません。

解決不能な問題に出会うとどうなるのか、と言うと、「思考停止」状態になり、考える振りだけをして、集中力が切れます。

その瞬間よくあるのは、スマホをいじったり、漫画を読んで時間が経ったり、好きな女の子のことを考えたり、夕飯のことが気になったり、思考が無意識に引っ張られます。

思考=理性が切れると、人は本能に支配された分散思考状態になってしまい、その時、決して集中力が持続した「考えて」いる状態にはなっていません。

解決不能な問題の場合は注意しなければならないのです。

仮に、2時間の勉強時間があったとします。その中の1時間がまさにその解決不能問題対応中の時間であれば、その1時間は実質的な遊び時間である場合が、少なくないのです。

ある意味、仮に実質勉強時間を測定し始めたら、かなり勉強時間は少なくなってしまうのです。

本人的には頑張っているつもりが、生産高で言えばゼロ、になっていることが結構あり得るのです。

これは別に受験生だけの話ではなくて、日常的によくある話で、悩みを抱えると、時間だけが消費されて、何も生産していない、 ということは誰だってあるでしょう。

数学もそれが多くなってしまいがちなのです。

私があえて、「生産」とか「効率」とか、経済学用語をあてはめているのも理由があります。

今の話のテーマが「学習効率」だからです。生産効率を高めるための1つのコツは、「感情」と切り離して考えてみること。

生産高がゼロとか低ければ、スパッと止めます。

もし身近に教えてくれる人がいれば、その人に聞いてしまうのが早いです。

もしそういう人がいなければ、「この問題は今の自分では戦えない」という戦況を判断して、即座に撤退して出直すのです。

それでその時は、今の自分でも出来ることから固めます。そうすれば、無謀に考える生産高=0⇒今出来ることをやる生産高=30、というように、生産量を増やすことが出来ます。

日本の古い因習なのか、粘ることにこだわる人がいます。それによって生まれているムダな時間が大量にあるんですけど。

またそれは、教える側が犯人の場合も結構ありますけどね。本人のレベルに「適切な」問題を与えないと、そうなるんです。


ヤーキーズ=ドットソンの法則


例えば、心理学でヤーキーズ=ドットソンの法則(Yerkes-Dodson’s law) という基本法則があります。これは、学習活動に関するネズミの実験で、ネズミに電気ショックをどのくらい与えると学習効率が上がるのか、をヤーキーズさんとドットソンさんというイギリス人2人が調べたものです。

結論を言うと、ネズミに与える電気ショックは、弱すぎても強く与え過ぎてもダメで、適度なレベルのショックを与えることが、学習効果を高めます。

それは人間も同じで、「難しい問題」は、時々の刺激にはいいですけど、ちょうどよさを見極めないと、すぐにモチベーションが落ちます。だから私の場合は、受験生のそのバランス調整をしょっちゅうやります。

その人の数学力のレベルと問題レベルを見て、「あ~、これはこのまま続けたらエネルギーだけやけに消費して、リターンが少ない。だからやめさせよう。」と判断して調整するのです。

この話はかなり重要です。このようにしてエネルギー効率を高めることが大事です。


適度な刺激が最も脳のパフォーマンスが上がる。


小結論ですが、考えてもわからなそうなものは、時間をかけても解決出来ない確率が高いので、10分くらいで見切りを付けて止めましょう。難しい問題にチャレンジしたい場合は、時々にしましょう。

それが、賢い=スマート思考術です。時々プライドを持ってしまったり、なんでもかんでも無理にチャレンジしようとする時があると思いますが、下手なプライドを捨てることも、成果を高めるコツです。


医学部数学は、70%が暗記、思考は残りの30%だ。


これは賛否両論でしょうね。反対派からはボロクソかもしれません。

私の肌感覚だと、医学部数学の70%以上は暗記だと思っています。

受験生が戸惑うところは、どこからどこまでが暗記なのか、どこからが思考なのか、が見えません。

私の高校生時代も勉強してそれがわかっていたら、もっと変わっていたな〰、と思っています。

さっきも言いましたが、あたかも頑張って考えていけば、解法を「発想」出来るようになる、とか。そんなことはないです。数学を「発想」ではやらないようにしましょう。

受験の数学は、 あくまで先人が発見してくれた解法を、しっかり入れて、使えればいいのです。

その、「どう使うか?」の部分が「思考」なのです。

だから、自分が教える時は、「コレは暗記。ここからは考えよう。」と分けます。憶えるところと考えるところがごっちゃになるところが、心理的に非効率を生み出す境目です。そこを意識することが大事です。

暗記と思考を分けて、意味あるトレーニングをすると、効果がより高まるのでオススメです。

30%の「考える」部分はしっかり考えて、思考力を高めましょう。また詳しくは話していきますね。


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